- 2026-01-23 (金) 6:00
- お役立ちコラム

一杯のお茶に込められた豊かな香りは、心を落ち着かせ、豊かな時間をもたらしてくれます。
しかし、その繊細な香りを最大限に引き出すためには、淹れ方にちょっとしたコツが必要です。
特に、お湯の温度は香りの立ち方や味わいに驚くほどの影響を与えます。
今回は、日本茶の種類ごとに、香り高く、より深く楽しめるための抽出の秘訣を、具体的な湯温設定とその理由と共にご紹介しましょう。
日本茶の香りを引き出す抽出のコツ
香り成分を逃さない低めの湯温設定
日本茶が持つ複雑で繊細な香りを最大限に楽しむためには、抽出時の湯温設定が極めて重要な役割を果たします。
多くの香気成分、特に花のような甘い香りを担う成分は熱に弱く、高温のお湯で淹れるとすぐに揮発してしまい、せっかくの香りが損なわれてしまうことがあります。
そのため、茶葉の種類によっては、やや低めの湯温でじっくりと抽出することで、これらの貴重な香り成分を穏やかに引き出し、お湯の中に溶け込ませることが可能となり、より豊かな香りを舌や鼻で感じ取ることができるようになります。
旨味を引き出す抽出時間とのバランス
香りを重視して湯温を低く設定する際には、旨味成分であるテアニンの抽出効率とのバランスを考慮することが大切です。
テアニンは比較的低い温度でも溶け出しますが、高温になるほど抽出されやすくなる性質も持っています。
したがって、香りを逃さないように配慮しつつも、茶葉の持つ甘みやコクといった旨味をしっかりと引き出すためには、湯温だけでなく、抽出時間にも注意を払う必要があります。
理想的なバランスを見つけることで、香りと旨味が見事に調和した一杯のお茶を堪能できるのです。

煎茶の香りを際立たせる最適な湯温は?
60〜70℃で爽やかな香りを引き出す
日本茶の中でも特に人気のある煎茶は、その爽やかで清々しい香りが魅力の一つです。
この煎茶特有の繊細な香りを最大限に引き出すためには、一般的に60℃から70℃という、やや低めの湯温で淹れることが推奨されています。
この温度帯であれば、煎茶に含まれる多くの揮発性香気成分が、熱によって失われることなく、お湯の中に穏やかに溶け出し、立ち上る湯気と共に心地よい香りが広がります。
低温で苦味を抑え香りを際立たせる
煎茶の抽出において、湯温を低く保つことのもう一つの利点は、苦味や渋みの原因となるカテキンの抽出を穏やかにすることにあります。
カテキン類は高温のお湯でより多く溶け出す性質があるため、70℃以上の比較的高温で淹れると、お茶の持つ苦味や渋みが強く感じられることがあります。
60℃〜70℃といった低温で抽出することで、これらの成分の溶出を抑え、結果として、煎茶本来の持つ上品な甘みや、瑞々しい香りがより一層際立ち、バランスの取れた味わいを楽しむことができるのです。
ほうじ茶の香ばしさを最大限に活かす湯温は?
90℃以上の熱湯で香りを引き出す
ほうじ茶は、茶葉を高温で焙煎することによって生まれる独特の香ばしさが最大の魅力です。
この香ばしさの成分は、茶葉が焙煎される過程で生成されるものであり、その風味を最大限に引き出すためには、煎茶とは対照的に、90℃以上の熱湯を用いて抽出することが効果的です。
高温のお湯は、焙煎によって生じた香ばしい香りの素となる成分を素早く、かつしっかりと引き出す力を持っています。
熱湯で香ばしさ成分の揮発を促す
ほうじ茶の香ばしさの源となるピラジン類などの揮発性成分は、熱によってその芳香がより一層引き立ち、空気中に広がりやすくなる性質を持っています。
そのため、90℃以上の熱湯で抽出を行うことで、これらの香ばしさ成分の揮発が効果的に促進されます。
熱湯で淹れることで、焙煎によって形成された複雑で温かみのある香りが湯気と共に豊かに立ち上り、お茶を飲む前からその香りを存分に楽しむことができるのです。
この熱湯での抽出が、ほうじ茶ならではの格別な香りを体験する鍵となります。

まとめ
日本茶の香りを最大限に引き出すためには、茶葉の種類に応じた適切な湯温で抽出することが重要です。爽やかな香りが特徴の煎茶は60〜70℃のやや低めの湯温で、苦味を抑えつつ香りを際立たせます。
一方、香ばしさが魅力のほうじ茶は、90℃以上の熱湯で、焙煎によって生まれた香気成分の揮発を促し、その豊かな香りを引き出します。
このように、湯温を使い分けることで、それぞれの日本茶が持つ個性をより深く、豊かに楽しむことができるのです。
ぜひ、ご家庭での一杯で、香りの違いを体験してみてください。














































